逆のものを組み合わせる。それって何にでも共通する話じゃない??

 

今回は洋服の話から始まり、味覚などとの共通点を交えながら人間の感性の根本についての考察のお話です。

洋服と味覚、一見何の関係のないもののように思えますが、(洋服と味覚に限りませんが)ファッションにおけるおしゃれの見せ方、料理の味の表現の仕方は、抽象化していくと共通点が見えてきます。

この2つの関係性を比較しながら、世の中にある表現方法の共通する1つを明らかにし、人間の感性ってこういう部分に魅かれるのかな?ということを述べていきたいと思います。

あまり需要は無いかもしれませんがものごとの一般化は自分も好きですし、どこかで役に立つのではないかなと考え、備忘録も兼ねてここに記しておきます。

洋服における「反対の要素を組み合わせる」とは?

洋服でおしゃれに見せるための技法のひとつとして、「外す」ことがなされます。

この「外す」ことの本質は、テイストが8、9割ほど統一された着こなしに対して全く異なるテイストのものを一部分着用することによって、その部分を際立たせ、ギャップを楽しむことにあると考えています。

Tシャツで外す。(素肌を見せることでも外してます)

photo by http://wear.jp/ 

ここで「楽しむ」と表現したのは、「外す」ことの意味が良く分からないからです。
「外す」意味を広い視野で探したときに、「そもそもそれを人間の感性がポジティブに捉えるから?」と仮定することでしか、その意味を与えることが出来なかったのです。

そして、「ギャップを与えること、つまり反対の要素をもつものを組み合わせることが、人間の感性にゆさぶるんじゃない?」ということを考察していくことがこの記事の核にあたります。

なぜ「外す」ことがおしゃれと思われているのか、あなたはきちんと根拠を説明できるでしょうか?
おそらく、説明することは非常に難しいはずです。

ただ単にメディアのイメージ戦略に踊らされて、そのような着こなしがおしゃれだと思わされているからです。

「こういう着こなしがおしゃれ!」
と刷り込まれ、みんながこういう着こなしがおしゃれなんだ・トレンドなんだという共通認識が生まれておしゃれに見えているだけなのです。

だから逆にそういった共通認識に乗っかっていかないと、できるだけ多くの人の支持を得ることのできるおしゃれはできません。

また、「差し色」についても同じです。

主張の強い色味をごく少量、着こなしにに取り入れることで、その部分をかえって強調する手法です。


photo by http://wear.jp/tani/96745/ 

「外す」ことも「差し色」も反対に近い要素を少ない面積で取り入れ、その部分を強調するという意味では本質的に同じです。

この反対要素を取り入れることで、どちらの要素も引き立つんですよね。

これは色における補色の関係と似てます。

ここでは補色の説明は最小限にとどめて、簡単に説明しますと、補色とはお互いに真反対の色味同士のことを言い、例を挙げるなら「緑」と「赤」です。

同じ分量を組み合わせてしまうと、「ハレーション」という現象を起こしお互い色味がケンカした状態になりますが、どちらかをごく少ない面積にすることで、互いの色をよりはっきり感じることが出来ます。
(ハレーションは互いの色の主張が強くなりすぎて、まとまりに欠けます。そこでどちらかを少量にして色はくっきり見せるようにしつつも、調和を目指す必要があります。)

補足ですが、「外す」にしても「差し色」にしても少ない面積でやるから引き立つのであって、ある程度面積が増えるとそれはまた意味合いが違ってきます。
差し色ではそんなに失敗しないでしょうが、「外す」などアイテムの話になってくるとその要素(きれいめなアイテムとカジュアルなアイテム・素材の組み合わせなど)が少し複雑で見えづらくなるで注意が必要です。


photo by http://wear.jp/ 

もちろん、そういうバランスのとり方もあるので、全然否定しているわけではなく、あくまで「差し色」や「外す」ことを目的に着こなしを構築する場合の注意点です。

味覚との共通点とは?

では味覚において、逆の要素で互いに引き立たせ合う例を考えてみましょう。

スイカを思い浮かべて下さい。

甘くてみずみずしいスイカは夏に食べると、それはもう格別です。
そこに一つまみの塩もあれば・・・。

そうです。
この一つまみの塩が、ファッションで言う「外し」や「差し色」と同じ効果を発揮します

塩はスイカの甘さをより引き立たせるために振りかけます。
甘いものを食べたらしょっぱいものが欲しくなるように、まさに反対の要素をごく少量入れます。

一口かじると、塩のしょっぱさがいつもより感じられた後、スイカが甘味を増して口の中に広がります。

このように、逆の要素を組み合わせ、互いに魅力を引き出し合うというのはジャンルを超えてなされていることであり、明文化されていないだけで、人はどうもここに魅力を感じるようです。

『伝え方が9割』の本の中でも、より魅力に見せるコピーライティングのテクニックの一つに「ギャップ法」というものがありますが、人が反対要素の組み合わせに魅力を感じることを物語っているようです。

他に例をあげれば、「ツンとデレ」・「食感の異なる組み合わせ」などなど・・・

あまり想像力が働かず他の例が思いつきませんでしたが、反対要素の組み合わせはあらゆるところにあります。

なぜなら、反対の組み合わせは人を惹きつける力があるのです

人は自らの対極にあるものを羨ましく思い、意識しています。
貧乏ならお金持ちの人を、運動神経が悪い人はスポーツが出来る人を意識します。

このように、実は反対の要素は、意識の中では限りなく遠いものではなく、常にすぐ隣にあるものなのです。

今の自分の立ち位置から、得たい理想という形で反対のイメージを常に持っています。

こういった部分も影響して、反対要素は人にとって身近なものであり、魅力を感じるのかもしれませんね。

まとめ

なんかちょっと話が散らかってしまったように思いますが、ここで言いたかったことは、反対要素を組み合わせることはお互いを引き立たせ、より一層魅力的に見せる力があるということです。

それはファッションに限ったことではなく、当たり前のように身近にあり、知らず知らず実践していたり魅力に感じていたということを伝えたかったのです。

反対のものを組み合わせることで今まで気づくことのできなかった魅力を感じ、人は気分を高揚させるのです。

ツンデレにしても、普段おちゃらけている人の真面目な一面を見たときも、スイカを食べたときも・・・

だから、着こなしにもきちんと根拠はあり、意味があるのです。

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