使いこなせれば上位5%なんて余裕。表現力は無限大?奥が深すぎる色、グレー。

モノクロ写真。

実質的には白と黒の2色しか使われていません。それなのに、表情の細部まで緻密に表現され、圧倒的なリアルさを伴って訴えかけてきます。その写真の奥行きも、老人の悲壮感漂う表情もハッキリと感じることが出来ます。白と黒のたった2色ですよ?それでいてこのリアルさ。

なぜでしょう?
この奥行きとリアルさは何がもたらすのでしょう?

 

 

それは、グレーです。

黒と白を混ぜ合わせることで、どんな濃淡をも表現できるからです。モノトーンであっても、こういう緻密さを感じられるのはグレーのおかげなのです。グレーという表現力のある色は、奥が深く繊細な色なのです。

 

 

 

グレーについてきちんと理解し、使いこなせている人は少ないです。
おしゃれな人でもそうです。

 

おしゃれな人は膨大な試行錯誤から、おしゃれな服の組み合わせを自分なりの感覚に落とし込みます。その試行錯誤の中で、グレーは弾かれやすいからです。

単体では、ぼやっとしてしまうしなーんか野暮ったく感じる。それよりも黒を合わせた方がシャープに見えるし、いいな。バーガンディやダークグリーン、オレンジなどの色味も個性を出すときには使えるな。という風に自分の中で「おしゃれになるには?」と問いをかけながら、判断していくと零れ落ちがちなんですよね。

 

もちろん、おしゃれに着こなしている人もいますが、他の黒やネイビーなどの王道的な色味と比べるとごく少数になってくると思います。本来は汎用性のある色味であるはずなのに、使っている人が少ないのです。

 

なぜか。

 

それはグレーが良くも悪くも中途半端だからです。

 

「赤」の色味を解説したときに、「一番の特徴を持つものは使われやすい」という話をしましたが、これとは反対ですね。グレーはどんな状況にも対応する汎用性型です。

 

「赤」について、色の組み合わせ方から丁寧に解説する。

 

「赤」は一点特化型。
「グレー」はオールマイティな汎用性型。

 

「赤」を解説した記事では、無難は選ばれないと話しました。確かに「グレー」は無難ではあるのですが、非常に使い勝手のいいものなのです。なんというか、無難のアベレージが高い。平均よりも高いレベルでバランスをとるオールマイティな選手なのです。

だから、使い方次第で大きく化けます。

 

グレーをきちんと理解すれば、他の人とは一線を画した配色センスを獲得できるはずです。人から「センスいい!」と思われるには、あなたは人とは差別化されつつも、突き刺さるアウトプットをする必要があります。グレーを理解することで、そのようなアウトプットが出来るようになるのです。

 

周りの人はグレーについて知識もないし、本当の魅力に気づいていない。
だからこそ、あなたは差別化できるのです。

 

おしゃれでも、デザインセンスでも上位5%なんて余裕です。

 

 

 

 

皆グレーを使いたがらない理由

 

さっきちょっと言ったように、中途半端な色味だとみんな感じているからです。

例えば、ジャケットやブルゾンなどのアウターが、グレー・ネイビー・ブラックの3色で展開されています。どれも王道で使いやすい色です。この中でなかなか売れにくい色はどれだと思いますか??

 

話の展開的にグレーだとあなたは予想しているはずです。その予想を裏切ることなく、基本的にグレーが売れづらいです。

 

これはパッと羽織ったときに、ブラックやネイビーと比べてかっこよく見えづらいからです。

 

ブラックやネイビーなどの暗い色味を着た後にグレーを着ると、
あれ?なんか微妙だな。」と直感で感じるのです。

その原因はグレーの方が色味が明るいため、ぼやっとした印象を抱いてしまうからです。野暮ったく感じるのです。ブラックやネイビーを選んだ方がシャキッとするような感じがするから、どうしても暗く濃い色を選んでしまうのです。

 

人は基本的にぼやっとした色味よりもハッキリした色味の方にポジティブな印象を抱きます。

 

ですから、このような傾向になるのは仕方ないことなのです。

 

「じゃあアウターじゃなくてインナーなら?」
と疑問を抱いたあなたは良い着眼点をお持ちです。

 

ファッションがめっちゃ好き!という人以外でアウター(一番外側に着る洋服)のインナーにどんな色を選ぼうか、ってとき白が一番人気だと思います。

白が圧倒的に強い。

 

暗く濃い色をアウターに選んだとき白を組み合わせたときに、相乗効果が生まれるんですよ。暗い色はより濃く、白はより白く。反対のものを組み合わせているので、お互いを引き立たせているんですね。

だからこそ、強いんです。白は。

 

グレーはもちろん悪くはないんですが、明確な意図をもって着こなしを組まないと、インナーとして使うとしても「うーん、微妙。」と白に落ち着いてしまいます。

 

やっぱり中途半端な印象がぬぐいきれないんです。

 

 

グレーは間違いなく使いやすい色なんですよ。でも、なかなかアウターとしてもインナーとしてもいかんせんメリハリ感が出づらい。濃く暗い色味と最も明るい白を組み合わせた方が、パキッとした印象を感じてかっこよく見えやすい。人はある程度コントラストがあった方が、視覚的に心地よいのです。

 

だから、
「グレーを選ぶんだったら、、、ねぇ?」

みたいな感じで敬遠されやすいのです。

 

グレーの特性を理解しない限りは。

 

 

 

 

グレーの特性とは?

 

一口にグレーと言っても、白や黒をどのくらい混ぜるかによって印象はかなり変わってくるので一概には言いづらいところですが、まとめてみます。(それがグレーのいいところでもある。)

 

グレーを一言で表現するなら、「協調」。
これが最も端的にグレーを表した言葉だと思います。

 

黒や白をどのくらい含ませるかで、暗い色にもなる明るい色にもなるグレーはバリエーションが広いです。しかも色みをもたないモノトーン。

自分の特性を変えながら、色と色を優しくつなぐ仲介者に見えてなりません。

 

グレーの特性をざっと挙げます。

・ライトグレーからダークグレーまで表現の幅が広い。
・ゆえに奥行きが出せる。
・どんな色とも合う。
・黒と白とは違い、混ぜて作られたやや複雑な色味。
・ゆえに表情が生まれる。
・ゆえに黒や白よりも単調にならない。
・ビル群やコンクリートの建物の色味から、「都会的な」「モダンな」イメージ。
・また「洗練された」イメージも。

 

極端な性質は持ってないんですよ。グレーという色からは力強さというよりもマイルドな優しい印象を感じます。

 

でも、同じモノトーンである黒や白は極端なんですよ。
No.1なんです。

 

黒は1番暗い色だし、白は一番明るい色。

だからこそ、「まぁまぁまぁ」と色と色の橋渡し役、仲介タイプのグレーが必要な場面があるんですね。「赤」もそうですけど極端な性質を持つ色や主張の激しい色ばかり使っていると、着こなし全体の見た目がきつくなります。威圧感が出てしまうんですね。

 

デザインでは「黒・白・赤」の3色で構成することがよくあります。これは、モノトーンのどんな色でも合う性質と赤の主張の強さを効果的に生かした配色で分かりやすく、はっきりとした印象を与えるからです。でも、これをファッションに生かすと見た目がきつくなってしまうのです。

 

もちろんケースバイケースですけど、個人的には着こなしに柔らかさを入れた着こなしの方が、「この人センスいいなぁ」って思いますね。その柔らかさを担ってくれるのが「グレー」なのです。

 

まあ、黒と白は極端な性質を持ちつつもどんな色とも合うので、様々な場面で活躍する色でもあるんですけどね。赤もNo.1の性質を持ってますけど、色みがあるために他の色と組み合わせるときには気を遣います。

 

黒と白は主張が強いけれども相手のことも考えられるタイプ。
「赤」は自分の主張をこれでもかと押し通す傲慢なエゴイストタイプ。
そんな感じで私は見ています。笑

 

しかもその極端な性質は、人間の「パキッとした配色を好みがち」という性質にマッチするためにこんだけ重宝されるんでしょうね。やっぱ黒と白やべぇ。

 

だらだら書いちゃいましたが、グレーは中途半端ゆえに表現の幅が広いということです。それゆえに色と色の仲介役になれたり、黒や白に出せない奥行きや柔らかさを表現できたりと、繊細な表現が出来るのです。

 

一応、グレーの性質についてどこよりも詳しく説明したつもりですが、もうちょっと具体的に離さないとイメージしにくいかと思うので、次はグレーをライトグレーとダークグレーに分けて話していきたいと思います。

 

 

 

 

ダークグレーとライトグレーを使い分ける

 

グレーを理解するなら絶対に外せないのが、色の濃淡です。

グレーと一口に言っても、ライトグレーからダークグレーまでと色の幅があるからですね。「どのくらい黒を混ぜるか?」「どのくらい白を混ぜるか?」で、濃くも薄くもその中間にもなっていきます。白を多く混ぜたグレーは白の特性も併せ持つようになるし、黒を多く混ぜたグレーは黒の特性も併せ持つようになるのです。

 

だからグレーだからと言って、白をより多く混ぜたライトグレーと、黒をより多く混ぜたダークグレーを一緒くたにしてしまうのは危険です「センス」がありません。それでは繊細な表現は出来ません。グレーである以上共通点もあるのですが、もちろん違いもあるからです。

 

 

ダークグレーとライトグレー。

この両者の使い方を具体的に知ることで、グレーの理解度はグッと深まります。ファッションだけでなく、自分の配色センスの幅も広がりますから、もうちょっと踏ん張って頑張りましょう。

 

よくファッション初心者はモノトーンな着こなしから始めると失敗が少なくなると言われています。もちろんこれは、モノトーンが合わない色が無いからで、色の組み合わせにおいて失敗しないからです。

 

ただ、モノトーンと言われて、「黒と白だけ」の着こなしになっている人がとても多いのも事実です。グレーを使えていないのです。「なぜグレーが使われないのか」はもう説明しましたね?みんなグレーのことを知らないのです。すごい力があるのに。

 

 

ライトグレー

ファッションにどう取り入れていくか、より実践的な話をしたいと思います。

 

白の含有量が多いライトグレーは、まずクリーンで柔らかな印象を相手に与えることが出来ます。

意外と黒単体ではクリーンな印象を付与できないことがあります。黒は「威厳」や「高級感」とも結びつきやすいので、多用すると見た目が怖くなります。清潔感を出そうと思って白を使うと、真反対の色のためお互いの色をより際立たせてしまい、見た目のインパクトは強いままなのです。

だから、黒を多用してきつくなりすぎたときは、ライトグレーが使えます。白に近い色で清潔感も出ますし、シャープさに欠ける色なので柔らかさも出せます。

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photo by http://wear.jp/ 

 

また、白と黒だけの着こなしではのっぺりした印象になりがちなところを、奥行きを与えて寂しい印象を払拭するのに役立ちます。着こなしに深みを与えつつまとめることが出来るのです。

のっぺりした印象を回避するために色を何色も使うと、ごちゃつきます。難易度が高いです。それよりもライトグレーを使った方がはるかに簡単だし、洗練された見た目に仕上がります。

 

それでも、デメリットはあります。

先ほども言ったように、膨張色でありシャープさに欠ける色味です。単体で使うとぼやけてしまうのです。明るい色と合わせてしまうと、全身がぼや~っとしてしまい野暮ったくなります。垢抜けない地味な印象になってしまうのです。

だから、黒やネイビーなどの暗く濃い色味と一緒に使うことをオススメします。
ぼやけるのを防ぐことが出来ます。

 

 

写真はアウターとして使っていますが、まずはインナーとして使うのがいいでしょう。靴下や靴でもいいですね!
まずは面積の小さいところから使っていって、次第にグレーの領地を拡大していく方が失敗せずに済みます。

 

アウターは濃い色にしてインナーをライトグレーにするのが、適材適所の役割分担であり、正攻法です。

 

 

ダークグレー

 

こちらは黒の含有量が多いためクリーンさというより、重い見た目になります。暗くて濃い色味なので、もちろん収縮色です。シャープに見せてくれます。黒よりは明るい色のため、黒の方がシャープに見せる力は強いです。ですが、黒のようなのっぺりした単調な色味にならず、表情のある着こなしを楽しむことが出来ます

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photo by http://www.uniqlo.com/UniqloU17fw/jp/men/

 

ですからそれが黒よりも野暮ったさを感じる原因になることもありますが、それは他のアイテム選びを野暮ったさを排除することを意識すれば、解決できます。

 

また、特に下半身を気にする人が多いため、ボトムには黒を選びがちです。そのため、アウターなどトップを黒にしてしまうと、全身が黒くなってしまいます。見た目が非常に重くなってしまうのです。それを避けるためにもおダークグレーのアウターを選ぶことは、実はとても賢い選択です。

ダークグレーのアウターのインナーに白を選んでも、黒よりインパクトの強い見た目になりません。むしろ、白を選ぶことでダークグレーの色みを強く感じることができます。つまり、錯視効果で本来よりもシャープな見た目になるので積極的にインナーに白を使うのもアリです。

 

逆にインナーでダークグレーを使おうとすると、工夫が必要になります。

なぜなら、アウターに暗い色を持ってくると内と外両方暗くなりますから、メリハリがつかず地味になります。反対にアウターに白などの膨張色を入れると、より奥に見える性質を持つ収縮色が内、より手前に見える膨張色が外になり、アンバランスに見えます。スーツのように、広がって見える膨張色を、収縮色で囲んで抑えてあげた方が立体的な着こなしになるからです。

だからこそ、ダークグレーはライトグレーとは違い、アウターやボトムスで使うのが良いでしょう。より面積の多い場所で使おうということですね。

 

 

慣れてくれば、グレーワントーンで構築するなど「垢抜ける」要素しかない上級な着こなしも出来るようになります。グレーを制する者が、おしゃれを制します。

グレーの無限の表現力を上手に使って「センス」を鍛えてみて下さい。

 

 

まとめ

グレーは、柔軟な色です。

どんな色とも合い、表現力が半端ないんです。濃淡次第で奥行きも深みも表現できます。でも、表現の幅が広いということは正しく使える知識が無いと、その力を持て余してしまうということです。だからこそ、グレーを使いこなせる人は「センス」がいい人です。

柔らかさも、重厚な印象も、クリーンさも、洗練された印象もグレーにかかればお手の物です。

「困ったらグレー」ぐらいの勢いで、普段の着こなしを考える際、グレーを加えることを考えてみて下さい。

 

 

 

PS

四十八茶百鼠という言葉があります。

これは江戸時代、華美な服装が禁止された人々が「それでもおしゃれしたい!」と言って編み出したものです。言葉遊びなので厳密に100色というわけではありませんが、鼠色で豊富なバリエーションを作り出したのです。

 

だから、私は鼠色に繊細さを感じずにはいられません。グレーを上手に使っている人を見ると、繊細で細かいところまで行き届く感性をお持ちだなと思ってしまいます。それだけに、黒と白だけの着こなしに繊細さを感じずらいです。

 

グレーは使う人によって、大きく差が出る奥が深い色なのです。