雑誌読んでるとありますよね。
「ごちゃごちゃさせず、さらっと1枚で着るのが正解。」
みたいな。
それを真に受けた私は、
「ほほーん。1枚で着ればいいのね。
楽勝じゃん。」
Tシャツに袖を通し、さぞ軽やかなる着こなし・・・。
鏡の前に立った私は愕然としました。
全然おしゃれじゃねー!
ただのダセェ奴だ。
1枚で?さらっと??
いやいやいや。
1枚で着てもかっこよくならないんですけど。
むしろ不正解なんですけど。
アパレル関係者は、きっと「さらっと」という1ワードの中に秘密をかくまっているに違いない。
さらっと着こなせない私を見て「フフフ」ときっとせせら笑っている・・。
すみません。
被害妄想が過ぎました。
まあ、Tシャツでもシャツでも何でもそうですけど、1枚できるっていうのは難易度が上がります。かなり簡素な着こなしになってしまうからですね。ほぼボトムとTシャツだけですから。ごまかしがききません。
料理でも凝ったものより、非常にシンプルな料理に本当の実力が出ますもんね。
1枚で着るっていうのは、自分で作っただし巻き焼き玉子を厳しい審査員の目に晒すぐらいの覚悟でいなければダメです。シンプルだからと手を抜いてしまっては、如実にその手抜きが反映されます。
逆に言えば、その簡素な着こなしをセンスあるおしゃれな着こなしに見せることが出来れば、あなたの実力が本物であることを証明できるのです。
また今回の記事は1枚で着るときの本質的な考え方です。
Tシャツの着こなしだけでなく、様々な着こなしに応用させることが出来るので是非マスターしちゃってください。
1枚が難しい理由。
それはのっぺりしてしまうからです。
着こなしが平面的になり、つまらなくなるからです。
人は変化が無いと、つまらなくて死にそうになります。外からの刺激が弱すぎて、時が経つのが亀のようにのろく感じます。時計やメトロノームのような一定のスピードでカチカチと音を刻むのをずっと見続けていられますか?無理ですよね?
カラマーゾフの兄弟などで有名なドストエフスキーは、究極の拷問は徹底的に無意味で無益な労働をさせることだとも言っていますし、度を超すつまらなさは人を死に追いやるほどです。
1枚で着ると上半身には何の起伏も生まれないため、見ている人にとって単調な感じがしてしまうものです。
例えばTシャツ1枚で着るのと、Tシャツの上に1枚羽織るのとでは、印象がだいぶ違います。
Tシャツ1枚だと単調な感じがしませんか?
羽織れば、起伏が生まれます。
その分単調さをかき消すことが出来ます。
1枚できると着こなしに立体感が出ず、平面的でつまらない印象になるんですね。
立体感についてはおしゃれの4つの要素で解説しているほど私は大切に思っている概念です。
立体感が大事だからこそ簡素なTシャツスタイルは、メリハリのある顔や筋肉質の体がよく合います。立体感のないTシャツを顔や筋肉で補うんですね。
1枚いろいろ。
ここまでTシャツを中心に話を進めてきましたが、何もTシャツに限った話ではありません。
「1枚で着る」とは、結構広い範囲を指します。
Tシャツの上からバサッと羽織るブルゾンやコートもボタンやジップを上まで上げてしまえば、それはもう1枚としてカウントされます。
だって、下に何着ていようが見えないですよね?
首元からエリをのぞかせれば、ちょっとは単調な感じを払拭できますけど、それでも多少です。
ボタンを閉じれば1枚。
ジップを上げてしまえば1枚。
インナーが見えなければ、どれだけ複雑な着こなしをしていようと見る人には伝わりません。
のっぺりした印象になるのです。
もちろん閉じた着こなしがダメだと言っているわけではありません。
それはそれで魅力はあります。
ただ、難易度は高くなりがちですよってことです。
1枚でおしゃれに見せるにはどうすればいい??
じゃあ1枚でおしゃれに見せるにはどうすればいいでしょう?
実は色々あります。
体型をきれいに見せる工夫をしたり。
髪型やタンクトップを挟み込んで立体感を出したり。
アイテム自体にデザイン性を持たして寂しさを取り除いたり。
上の写真は、ワーク調のアイテムで全身を合わせつつも、着丈はやや短めでスタイルが良く見えるように。首元からは首元が寂しくならないように同系色のインナーをのぞかせました。ブルゾンにボリュームがあるので、革靴を履いて股下の長さを拡張しています。また、閉じても寂しくならないようなデザインの利いたものをチョイスしています。
こんな感じで1枚で良く見せるテクニックを散りばめています。
「おいおい1枚と言いながらレイヤードしちゃってるじゃねぇか。」
確かに、1枚と言うにはややグレーゾーンかもしれません。でも、本当に1枚オンリーで着るのは難しいのです。だから、少しでも難易度が下がるようにちょこっとレイヤードするっていうのは努力です。
ちょっと力押しですかね?笑
もし、それでも「さらっと1枚」と言ってるのに重ね着をしてしまうのは納得がいかない場合は、
・髪型を整える
・ボトムとトップで体型を出来るだけきれいに見せる努力をする
・シルエットを丁寧に整える
・ノーマル過ぎず、でもデザインフルでない絶妙なラインのアイテムを着る
・簡素なスタイルのため、埋没しないようにやや差別化を意識
このあたりを強く意識してみるといいと思います。
立体感・スタイルアップ・差別化ですね。
だから私も、ちょっと差別化よりで組んでみました。
うーん。やっぱり1枚は難しいなぁ。