この問いに関しての答えは「Yes」です。
その根拠を解説していきましょう。
親しくなると感度が鈍くなる
あなたは街で美人やイケメンを見かけると、その美しさを瞬時に判断できるのではないでしょうか??
あなたが街を歩いていると、すれ違いざまに美人を目の端に捉える。
端正な顔立ち、クリッとした丸い目にふわっとゆるく巻かれた髪・・。
すれ違うほんの一瞬で、あなたは
「うっわ。可愛い。」と思わず声を漏らします。(心の中で)
あなたにも経験があるはずです。
一度や二度じゃないでしょう。
都内に出るとつい目移りしてしまいますね。
この感度はスゴイですよ。
ストップウォッチを手動で、
「スタート!」「ストップ!」を出来る限り高速で連打しても間に合わない速さでしょう。
実際に、この感度は、10分の1秒あれば十分とされる実験結果もあるほどです。
それほどまで高機能なセンサーを私たちは標準装備しているのです。
しかし、このセンサーがうまく働かなくなる状況があります。
それは親しい人に適応する場合です。
あなたが判断しようとする人が親しければ親しいほど、このセンサーは鈍るのです。
試しに親しい友達(女友達でも男友達でも)、もしくは家族に対してこのセンサーを働かせてみて下さい。
美人かイケメンかどうかを判断してみて下さい。
おそらく判断するのは、初対面の人に比べて難しく感じるはずです。
つまり、この外見魅力判断システムは初対面の人には精度が抜群で、親しい人にはポンコツになってしまうのです。
なぜ親しい人には、このセンサーが作動しにくいのかと言うと、
それは単純接触効果に原因があるのではないかと言われています。
この効果はザイアンス効果とも呼ばれ、
繰り返し接触すると、好意度や印象が高まるという効果です。
何とも嬉しい効果でしょうか。
相手に会えば会うほど(親密になればなるほど)、私の顔面を判断する相手のセンサーはおかしくなっていくということですから。
でも、本当にそれだけで好意度や印象が高まるのでしょうか。
ちょっとだけ好印象になったところで、あまり意味はありませんね。
もっと劇的な変化が欲しいところ。
顔をノーカウントにして、目のクリッとした(完全に自分の趣味)可愛い子と付き合うとか!
だったら、もっと相手のセンサーを振り切ってバグらせないと。
そのためには単に毎朝会っておはようだけではあまり意味がありません。
ちょっとしか相手のセンサーをおかしくできません。
(今更だけど、この話大丈夫かな・・・。笑)
じゃあどうすればいいのでしょう??
相手のセンサーを振り切れるほどおかしくするには・・・??
残念ながらモノスゴイ魔法のような方法はありません。
やっぱり正攻法しかないのです。
でもこの正攻法を取るだけの根拠をあなたに示すことは出来ます。
それが唯一の相手のセンサーをバグらせる道です。
これは、初対面の人に対してセンサーがなぜこんなにも鋭敏に反応するのかを考えればよく分かります。
初対面の人に対しては、当たり前ですけど何も知らない状態です。
その人について判断するのは外見しかありません。
判断材料が外見しかないのです。
判断するものがそれしかないとき、その判断される対象はより色濃く浮かび上がります。
真っ白なキャンバスに黒を使って絵を描くと、黒以外の色はないため、くっきりと色濃く黒を認識することが出来ます。
しかし、これが親しい人だとどうでしょう。
その人について判断するのは外見だけではありません。
自然と、性格や雰囲気、言葉に出来ないニュアンスを考慮に入れてしまいます。
外見を判断するにはノイズが多く、外見だけをくっきり浮かび上がらせることが難しくなるのです。
真っ白なキャンバスに黒だけでなく、赤・ベージュ・黄色・緑などの色が足されていき、黒だけのときより簡単に黒を判断できません。
もちろん、親密度が上がれば、その人について色々な情報を得ることになりますから、
そのキャンバスに占める黒(外見)の占める面積は少なくなっていき、様々な色(性格など)で埋め尽くされていきます。
これが親密度が上がるにつれて、外見をストレートに判断できなくなる原因なのです。
だから、相手の外見的魅力判断システムをぶっ壊すためには、
相手と出来るだけ深い関係になることが非常に大切なのです。
結論は、
単純な接触回数を増やすだけでは足りない、
もっと親密になってセンサーをバグらせろ
ってことになりますね。
・・・・・・・・。
って今回のメインディッシュはそれではない。
で、ファッションと顔の関係は??
盛大に話がずれてしまいましたが、実はずれていません。
(どっちだよ)
そもそもの話、覚えてます??
「顔をファッションでカバーできるのか」でしたね。
実はこれまで話した内容と非常に深いつながりがあるのです。
勘のいい人は、ここでピン!と来るかもしれません。
ヒントは「邪魔、ノイズ、分散」あたりでしょうかね。
まあ言ってしまうと、服装を整えることは顔への意識を減らせるということなんです。
「服に気を遣って全体が映えるような服装をすることで、周囲の人の視線が顔だけに向かない気がします。また、マラソンをするようになってから、『脚の筋肉がすごい』とか『スタイルが良い』と褒められるようになったのですが、その人の意識は顔に向いていないことに気づきました。ファッションに気を遣ったり体を鍛えることは、症状の苦しみを和らげてくれると思います」
出典:「顔ニモマケズ」水野敬也 p29.
この文章は「顔ニモマケズ」と言う本の中の、一節ですが、顔に障害を持った方の言葉です。
顔の形が変形し、他人から白い目で見られることは当たり前、人よりも顔について悩まれてきた方が紡ぎ出した言葉です。
そういった大変な経験をされてこられた方の言葉には説得力があります。
私自身もこの本を読む前から、ファッションが顔をカバーする力があると考えていましたから、この一節を読んだとき、「やっぱり自分の考え方合ってるかも」と思いましたね。
というか情報やノイズを増やしていけば本来の趣旨から遠くなるというを考えが出発点でした。
今回の話に当てはめれば、本来の趣旨が顔、情報やノイズがファッションや筋肉ですね。
情報・ノイズが多いほどあなたの判断は狂い、核心からどんどんどんどん離れていくのです。
情報・ノイズが本来核心に向かうべき視点を邪魔し、分散させているからです。
例えば服を買うとき、何が一番自分にとって大切な判断基準になるのか曖昧になることはよくあります。
自分の手持ちの服に合うのか、ケアが大変そうか、値段が高い安い、定価よりこれだけ安くなっている、自分に合っているか、自分の純粋な好み、人からどう見られるか・・・・・
など、様々なことを考慮して服を買うと思います。
普段意識していなくても、これだけのプロセスを経て決定します。
これだけ多くの価値判断項目があると、いつの間にか
「あれ・・・・?自分の本当に大切にしたい価値観ってなんだっけ??」
とぶれます。
核心が分からなくなります。
だから、自分が本当に欲しいものではなく、値段につられて買ってしまったということはよく起こります。
本当にこの辺り、痛いほどよく分かりますね。
これは何も服や、モノを買うときだけの話ではありません。
人が何かを判断するとき、ノイズや情報はいつも付きまといます。
他に考えるべき情報や材料があると、本来検討すべき情報に割くエネルギーは弱くなる。
これが今回あなたにお伝えしたかった全てですね。
これだけ覚えていってほしいです。
私のブログでは、この話が隠れた前提として進んでいっていることが良くあります。
というかかなりの割合です。
だって人間の知覚がそうだから。
色使いもそう。スタイルアップもそう。洋服の合わせもそう。
今回なら、顔。
「顔」の良さを判断するのが本来の目的なのに、洋服を整えることによってそこに意識を向けさせる。
そうすることによって、顔を判断する労力を分散させてごまかす。
それが、ファッションで顔をカバーするってことです。
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