『モノトーン+1色』はチート級の配色理論なんです。
なぜかと言うと。
一言で言ってしまえば、
同一色相配色
だからです。
これを聞いて、理解できる人はこの先を読む必要はありません。
この先は、この『同一色相配色』について説明されるだけですから。
「初めて聞いた!」というあなたには、この考え方を『じわっ』と体に染み渡らせるくらい丁寧に説明するので楽しみにしていてください。
「『同一色相配色』と書くくらいだから、『同じ色』がキーワードになるのかな?」と頭の片隅に置きながら、読んでいくとより深い理解が得られるでしょう。
この記事を読み終わる頃には、
「『モノトーン+1色』やべぇ!!!」と思うこと間違いなし。
MBさんと『モノトーン+1色』
MBさんが提唱してから破竹の勢いで広がっていった配色理論です。
その広がり方から見ても、この理論の優秀さがうかがえますね。
また、その変形版みたいな形で、『3色以内』の制限を設けるファッション指南者もいます。
何にしろ、ベースはMBさんが作りましたね。
この制限型配色理論のトレンドを。
(今勝手に『制限型配色理論』名づけました。笑)
ただ、『モノトーン+1色』は色彩理論に則った配色ですが、『3色以内』の制限はあまり本質的でないですね。後者はゆるい制限を設けて、ざっくりした方向性を示すぐらいのメリットしかないと思います。
そもそも制限型の配色は、『右も左も分からない人』か『最低限の服装が出来ればいい人』向けだと私は思います。
(批判じゃないですよ。笑)
「おめぇそんな偉そうなこと言うなら、他の配色法あんのかよ?ああん?」
と怒りを買いそうですが、
私は提唱している配色法は特にありません。
本質が大事だと思っているので。
あえて色合わせの本質を一言で表すなら、
それは『統一感(まとまり)』と『メリハリ』です。
これは私の主軸概念ですが、色合わせにも言えることなんですね。
似ていればまとまり、似てなければまとまらない。
非常にシンプルな話です。
もちろん、
シンプル=イージー
という話ではないです。
非常に奥が深い世界です。
ちょっと話が逸れましたが、初心者にとっては非常に有用な配色法だと思います。
同じ色なら『合う』のは当たり前
もし『空』と『海』の色が全く同じ色だったならば、その両者を区別することは難しかったでしょう。
でも、私たちは区別出来る。
水平線を見ることが出来る。
なぜなら、その『空』と『海』は全く同じ色ではないから。
「こいつ何言ってんだ?」
とあなたは思ったかもしれません。
「そんなの当たり前のことだろ。」
と。
でも、この事実を改めて考えることは大きな気づきを得ることが出来るのです。
『空』はスカイブルーという言葉があるように、青に白を混ぜたような優しい色をしています。
対して、『海』はその海底の深さを物語っているような、濃い青です。
全く同じ色というのは、共通点しかない状態です。
違いが無い状態です。
あえて数値化するなら、
共通点100
相違点0
状態。
だから、分けることが出来ない。
もう『合う』を通り越して、『同化』してしまっています。
似ていれば似ているほど『合い』、それを通り越し全く同じになったとき『同化』します。
『合う』とは、本質的には『同じ』だということです。
同一色相配色
色の構成要素は
・色相
・明度
・彩度
ですけど、
『明度と彩度は好きにさせたれ。その代わり色相は同じじゃないとアカンよ。』
というのが同一色相配色なのです。
『色相』は絶対死守。
これが同一色相配色の掟です。
ちなみに色相・明度・彩度が分からない人はこれ読んでください。
まあ出来るだけこれを読まなくても分かるよう頑張りますけど・・・。
同一色相配色というのは、これだけなんですよ。
色相を固定するだけ。
そんなこと言われてもあんまりイメージ湧かないですよね。
じゃあ色相・明度・彩度を縦横無尽に動かすとどうなるか、見てみますか。
それが下の図です。
頭が痛くなりそうな図が出てきましたね。
全部理解しようとするとパンクしちゃうので、同一色相配色のポイントだけ話します。
この図は、
縦軸が明度
横軸が彩度
を表しています。
ざっくりと縦軸が色の明るさを、横軸が色本来の色味を持つと考えて下さい。
上に行くほど白っぽく、
下に行くほど黒っぽく、
右に行くほど色味が強く、
左に行くほど、色味が薄く、
なっているのが分かりますか?
明度と彩度は、今説明しました。
じゃあ色相は?
色相環で表されています。
ズラーっと色の環が並んでいますね。
そのひとつひとつが色相環です。
色相とは、『色み』のことです。
赤とか青とか緑とか。
色相環はその色みをつなげて輪っかにしたものです。
つまり、色相を固定するということはその輪っかの中の特定の色ひとつに絞るということです。
色相環=虹の色+紫と赤紫
です。
虹の色に紫と赤紫を足してつなげたのが色相環です。
その中の、ある特定の色以外使わないと決めるのです。
例えば一番下にある『青』を固定したら、青以外使わないと決めるのです。
隣にある近い色もダメです。
それが同一色相配色です。
あとは明度と彩度をどうしたってまとまりのある配色が出来るよってことです。
そりゃそうですよね。
同じ色相なんだから。
色相縛りは一番強力です。
だからこそ明度縛りや彩度縛りより、はるかにまとまりが生まれます。
明度とか彩度で縛ったところで、共通性は弱いですよ。
同じ明るさの青と赤を出されて「似てる」と思いますか?
思わないはずです。
それは同じ部分より違う部分が気になるからです。
さっきの図見て下さい。
たくさんある色相環の一番下の『青』の部分を見て下さい。
明るい青から暗い青まで。鮮やかな青から、くすんだ青まで。
それらを組み合わせるのなら、かなりまとまりますよと色彩学さんが言っています。
まっ。
ここまで説明してきたんですけど、こんな厳密に考えなくて大丈夫です。
っていうか無理です。
市販のもので同一色相配色を作るのは無理があります。
青は青でも、ちょっと色相が横にずれてたりするからです。
私服で同一色相配色は無理ゲーです。
ざっくり大体で考えれればOKです。
同一色相配色という配色法を説明する以上きっちり説明しなくちゃいけなかったわけで・・・。
似ていれば、まとまりは生まれます。
それだけ押さえてくれれば問題無いです。
で、本題。
(やっとかよ!w)
『モノトーン+1色』がなぜ優秀な配色なのか。
なぜなら、
この同一色相配色には、
無彩色×有彩色
の組み合わせも含まれるから。
いやいや、もうこんなんチートでしょう。
「色相だけ我慢してくれれば後は何でもしていいよ」と言ってくれたものの、
色相をひとつに固定されるのは、実はガチガチの縛りだったんですよ。
いくら明度と彩度は変えられるからと言っても、青しか使えないんですよ。
まさに体術しか使えないロック・リー。
(私好きですけどね、ロックリー。NARUTOのゲーム、ロックリーよく使ってました。)
それが、無彩色は黒白グレーを好きなように使えて、1色だけど何でも好きな色選んでいいよって・・・。
ヤバいでしょ。
同一色相に固定するくらいのガチ縛り配色とイコールですからね。これが。
バリエーションもある程度確保できて、
しかもめちゃめちゃまとまりの生まれる配色。
だからこそ、
『モノトーン+1色』は優秀なんですよ。
PS.
ややこしくなるので本文では触れませんでしたが、
共通点0
相違点100
でも『合う』と言われることがあります。
それが色で言う『補色』の関係です。
赤と緑のように、色相環で真反対に位置する色ですね。
この色の組み合わせは1:1の割合で組み合わせるとケンカします。
しかし、調整して9:1とか8:2くらいの割合で混ぜると調和するように感じられます。
一方の面積を少なくすることで主張を抑え、アクセントのように機能させるのです。
『補色』は色彩を学んでいる人なら、基本中の基本の配色です。
だからこそ、この配色法も世間では『合う』とカテゴライズされますが、私は『メリハリ』にカテゴライズしています。
よくファッションサイトで、
「栗色とスカイブルーは補色の関係だから合いますよ。」
と説明されていることがありますが、
私の心のうちでは、
「それって面積の少ない方の色がアクセントとして機能しているからで、『合う』というよりメリハリによって分かりやすい着こなしになっているからだよね?ヒトの認知的にキモチイイ状態だからだよね??」
と思っています。
ダークスーツのインナーの白シャツが着こなしに立体感を与えているように。
PPS.
あまり数値化すると弊害が出るのでやりたくないのですが、
共通点40
相違点60
だと同じ部分より違いに意識が向かい、共通点を感じにくくなるのは覚えておいてください。
あくまでイメージとして捉えて下さいね。